No.41 解説

 表題の句は、日本の豊かな季節の推移と風光とを淡々と詠んだものです。けれども、その奥には道元禅師が『学道用心集』の中で「学人の第一の用心は先(ま)ず我見を離るべし」と説かれたように、「本来の面目」すなわち、何のこだわりもない、きわめて日常的なものが真の仏道を実現するものであることをありのままに表現しているといえます。
 ノーベル賞作家・川端康成は「美しい日本の私」と題して、日本の禅僧の直観とその瞑想についてとりあげ、伝統的な日本精神の真髄を語りました。「本来の面目」・・・そのような境地に達すれば、もはや「我」などというものはなく、おのずと「無」とか「空」という境地に通じ合うものであるというのです。
 なお、「夏ほととぎす」とする説もありますが、ここでは良寛記念館の資料に基づき「山ほととぎす」としました。


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