「良寛さん」と愛情込めて呼ばれ、現代もなお慕われ続けている江戸時代の禅僧・良寛和尚は天保二年(一八三一)一月六日、七十四歳で示寂されました。その病は現代の病名でいうと、おそらく癌であったのではないかといわれています。末期症状の苦しさの中でこの詩を詩ったのでありましょうか。
人がめったに訪れない山奥で紅葉したもみじが、風にふかれるのでもなく、裏を見せ、表を見せては、はらりはらりと散ってゆく。その姿に良寛自身の姿を重ね合わせて詠まれた句であると言えます。